大判例

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京都地方裁判所 事件番号不詳 判決

主文

被告人を懲役二月及罰金四十万円に処する

但し右懲役については一年間執行を猶予し、罰金を完納できないときは二百日労役場に留置する

理由

被告人は京都市左京区岡崎円勝寺町六五番地で旅館有楽荘を営むものであるが、昭和二十二年度において、西川伸銅工業株式会社、平安金属工業株式会社など二、三の会社から合計約五十万円の飲食代金等の支払を受けた事実につき、これを隠して昭和二十三年一月三十一日迄の右年度分所得税確定申告にあたつて、所得金額にこれを計上せず七万五千余円(内営業所得三万五千五百円)と過少に詐り、不正に税額の一部(約三十九万二千百十三円)を免れたものである。

右事実は

被告人に対する昭和二十三年六月十二日附検事聴取書中にその供述として

「私は昭和二十二年度の所得税については、本年一月三十日迄に確定申告をして、正確な税額を同時に納税しなければならないという事は知つて居りました。処で前回にも申しました様に、本年一月の中頃、長男宣一と一緒に六万円程の納税額ではどうであろうかと、左京税務署の石黒課長の所へ話をしに行つた事があるのですが、その時息子はそれでは少な過ぎるではないかといつた事は事実であります。

課長も少な過ぎるといいましたが、結局納税期限迄に七万五千円という確定申告をした訳であります。(問重ねて訊くが、どういう根拠から計算したものか)私の店には前回にも御示しの営業伝票がありましたが、先に石田事務官にも申した如く完備したものでもなかつたし、且確定申告の注意書に因ると、所得が八万円を超えた場合税率が急に高くなる様に読みましたので、八万円以下に止めて置こうという気になつた次第で、勿論実際の所得額より少な過ぎると思いましたが、歴史のある有名な料亭との釣合を考えて左様に申告した次第であります。(問ところで二月の末に三百五十万円の更正決定を受けて前回に示した伝票により所得額を計出して審査請求をした訳か)左様です。今石田事務官に申した通り、西川伸銅会社外二、三の会社関係の客に就いて私の記憶で、大略五十万円の支払代金のつけおとしのあることは知つて居りましたが、税務署の更正決定があまりにも無茶であつたので、一寸意地になつて、つけおとしの分は計算に入れませんでした(問 どういう訳で会社関係の支払代金を伝票に記載しなかつたのか)私はこの商売は素人でありましたので深い事情は判りませんが、とにかく会社の人々が伝票や帳簿に支払代金を書いてくれるなと頼みましたので、その様にし、その後は受取りも出さない様にしたのであります。会社の名前は西川伸銅の外正確な記憶はありません」

との記載があるのを

一、昭和二十二年分所得税確定申告書写(記録七丁)

一、西川伸銅工業株式会社提出の支払伝票請求書及領収証(記録二二丁乃至二六丁)及平安金属工業株式会社提出の始末書(記録一九〇丁)

と照し合せると優にこれを認めることが出来る。

被告人の所為は所得税法第六十九条第一項前段に当るものであるから、同条第三項によつて、懲役と罰金とを併科し、所定の刑期及金額の範囲内で、被告人を懲役二月及罰金四十万円に処し、なお刑法第二十五条第十八条を適用して主文の通り判決する。

公判立会検事某

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